東海支部は、1961年（昭和36年）4月に設立された。設立発起人は、発起人代表　須賀太郎　発起人　跡部省三、伊藤忠雄、篠田公平、石岡繁雄の５氏であった。動機は、東海地区からヒマラヤに登山隊を派遣する受け皿として、日本山岳会の支部をこの地域に設置することが、もっとも適しているという判断からであった。　当時のヒマラヤ登山は、実現させるだけで大変で、小さな組織からのヒマラヤ遠征は、困難を極めた。何としてもヒマラヤへ行きたいという共通認識に燃える東海地区の若い登山家が一同に会したのである。　東海支部が設立されてヒマラヤへの夢が実現しかけた頃、突如ネパール政府によるヒマラヤ登山禁止令が出されヒマラヤ登山が凍結された。止むを得ず支部では、目標をアンデスに変更し、アコンカグア南壁隊として支部初めての海外遠征が実現した。1965年（昭和40年）のことであった。爾来、創始のこころとでもいえる東海支部の海外遠征は、今もその伝統が脈々と受け継がれてきていて、最近では、毎年のように登山隊を海外に派遣させている。それらの実績は、後述の通りである。　東海支部というと、直ぐ海外遠征を連想させるが、海外登山の他にもさまざまな事業や活動に取り組んでいる。東海山岳や支部報などの出版活動、ユニークな自然保護活動、登山教室や講演会などの文化事業、ネパール展、伊吹山播隆祭、写真展などのイベント等活発な事業を展開している。また、近年では、１５年程前から、支部の下部組織として支部友会を発足させ、未組織登山者や中高年登山者の指導育成にも力を注いでいる。現在では、この支部友会の会員数が支部員とほぼ同数の３００名近くに達し、支部の活性化に多大に寄与している。